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貧血と鉄分・1

そもそも、貧血と深く関わっている赤血球は、身体のどこで作られているのかご存知でしょうか?

内臓? あるいは 血管?

いえいえ、意外なことに骨の中心部分、骨髄(こつずい)という所で、鉄分を原料にして作られているのです。骨の中で赤血球が作られているというのは、あまり想像できない事なんですが、これは本当なんですよ。

骨は身体を支える為だけでなく、
鉄分から血液を作る→貧血防止の役割を果たしています。

ふだんはそんな事、考えてもいない私達ですが、骨は毎日、毎日、せっせと鉄分から赤血球を作り、貧血にならないように、がんばって働いてくれています。

もう少し詳しくいうと、骨髄には赤血球を作るおおもとである、造血幹細胞という組織があります。いわば血液のお母さんといったところでしょうか。この細胞が分裂して、増えていく事によって、血液中に赤血球が供給されるのです。

まず初めの段階では、葉酸(ビタミンB群の兄弟)とビタミンB12に協力してもらいながら、造血幹細胞がさかんに分裂して、増えていきます。しかし、ただ分裂して増えただけでは、一人前の赤血球には成長しないのです。

そこで登場してくるのが、ビタミンB6、そして鉄分です。この2つの栄養素が組み合わさって、一人前の赤血球を作り貧血防止になっているのです。

特に鉄分は、赤血球(特にヘモグロビン)を合成する、主要な原料となっています。当然、鉄分が不足すればどうなるか?だいたい想像できますね。身体中に新鮮な酸素や、老廃物の二酸化炭素を十分に運ぶ事が出来なくなり、貧血になってしまうのです。

例えていうなら、空気の入っていないタイヤを付けたトラックや、荷台がとっても小さくて、荷物をあまり載せれないバイク便のようなものでしょうか。

つまり、鉄分が不足するとせっかく骨が、がんばって赤血球を作ろうとしても、半人前の未成熟な赤血球がたくさん出来てしまうのです。こんな赤血球が、いくら血液の中にあっても、身体の隅々まで十分に酸素を運ぶのは、とても無理な相談です。

結局、身体のあちこちで酸欠が起こって、貧血になるのはあたりまえですね。


この赤血球は、一度出来たら一生身体の中に在るのではなく、だいたい、4ヵ月ぐらいで、その寿命が尽きてしまいます。

血液は数分で、身体の中を一回りして、心臓に戻ってきます。その度に、二酸化炭素を吐き出して、酸素を取り入れているのですから、ずいぶんと働き者と言えるのです。

と、まあこんな訳で寿命の尽きた赤血球は、胃の後ろにある脾臓(ひぞう)というところで、分解される運命になっています。

脾臓?ふだんあんまり耳にしない名前ですが、私達の命を支えている、縁の下の力持ちなのです。

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